うちの父親の臭いの原因は、風呂に滅多に入らなくなったことだった。
むかしっから風呂嫌いだったわけではない。
昔はなにかっちゃあ温泉に行っていたものだ。
しかしある時からパッタリ風呂に入らなくなった。
聞くと、風呂上がりに血圧が上がって倒れかかったらしい。
もともと風呂上がりというのは、血圧が大きく変化しやすい状況なのだ。
人間の身体というのは、周囲が温かいと毛細血管を開いて熱を逃がそうとする。
逆に周囲の温度が低いと、毛細血管を収縮させて身体から熱を逃がさないようにする。
低体温症の人などは、これが上手くいかないために、手足からドンドン熱が逃げていってしまい、身体の中心の体温が低い状態になると言う。
寒いときは、手足の先が冷たい方が正常な反応で、それによって熱を逃がさないようにしているわけである。
だから風呂に入って身体が温まると、身体は手足の毛細血管などを解放して熱を逃がそうとする。
ところが風呂から上がって涼しいところに出ると、今度は熱を逃がすまいとして手足の毛細血管を収縮させその結果、血圧が急上昇してしまうと言うわけだ。
血管年齢を若く保とう
うちの風呂好きだった父が、風呂に入らなくなったのは、血圧の急激な変化に身体が耐えられないことを自覚したからである。
命がかかると、さすがに風呂ぐらいはガマンできるらしい。
しかし若い頃は、そんなこと全く心配もしないで良かったのに、年を取るとなぜそこまで気にしなくてはならないのか?理由は「血管年齢」にある。
血管年齢というのは、血管の若さを計る一つの目安である。
簡単に言うと、動脈硬化がどのくらいあるかってことらしい。
動脈硬化というのは読んで字のごとく、動脈血管が硬くなる状態だ。
硬くなるだけでなく、血管の壁が分厚くなって血液が通りにくくなる。
そして血液が通りにくくなるから、心臓が強い力で血液を押し出そうとして血圧が上がる。
ところが血管は硬くなったままだから、その血圧が、血管の弱い部分を直撃して、脳卒中などを引き起こす。
だから年を取ってからも風呂に入れるように、血管年齢を若く保つ生活に切り替えるというのは大事だろうね。