年を取ると、周囲に迷惑をかけることが多い。
そして年を取れば取るほど、動作や感覚がニブくなるので、迷惑をかけていることに気が付かなかったりする。
しかし実は、年寄りというのはとんでもなく臭いしとんでもなく汚いことが多い。
それは自分自身にも言えることだし、自分の父親を見ていても言えることだ。
うちの父親は、ハッキリ言って臭い。
トイレで用を足すと、一体何を喰ったんだろう?と思うくらい臭く、鼻がひん曲がりそうになる。
理由の第一は、風呂に入らないということだ。
八十を越えているが、滅多に風呂に入らない。
うちの父は風呂嫌いというわけではない。
つい十数年前は、宝塚温泉などによく通っていたものだ。
しかしある時からパッタリ入らないようになった。
なぜかというと、あるとき風呂上がりに、死にそうな経験をしたからである。
命が危ないとなると、人間は好きなものでもやめられるらしい。
父が風呂に入らなくなったわけ
風呂付きだったはずの父親が、滅多に風呂に入らないようになった理由は血圧だ。
うちの父親は高血圧持ちなので、降圧剤がずっと手放せないのだが、こういう持病を持っていると、血圧の変化で死に至るようなことも起こるという。
風呂にはいると暖められた毛細血管が開く。
それによって血圧は一端下がるが、風呂から上がって寒い場所に出たり、扇風機などに当たったりすると、毛細血管が収縮して血圧が急に上がる。
この血圧の急激な変化が、脳や内臓の血管破裂などにつながって、危険な状態になることが多いわけだ。
風呂にはいるのが物凄く好きだった父親なのに、血圧を気にして風呂に入らない。
その結果、身体は汗くさく、何とも表現し難いニオイをしている。
こういうニオイは、滅多なことでは無くならない。
体の表面を暖めたタオルなどで拭いても、ほとんど効果がない。
年を取ると、しわなどが山ほど増えるから、そのしわの奥にニオイの原因が残ってしまうらしい。